夜中に台所で僕は

連休の前となるとついつい、宵っ張りになりがちだ。

ダラダラとテレビや雑誌、読みかけの本などを眺め、時折居眠りしたりをしつつ、それでもまだ床に就きたくなくて、焼酎なんぞをちびちびやっていると、口さみしくなる。

何かないかと探してみるが、乾き物も切らしていて、冷蔵庫を開けて頭を突っ込んでみても、めぼしいアテもない。

唯一見つかったのが、シュレッドタイプのとろけるチーズ。

このままアテにするには頼りないないが、こいつとオーブンシートがあれば、ちょっと気の利いた上等のアテが出来る。

しかも、酔っていて手元が多少怪しくてもしくじりようがないほど、いたって簡単に短時間で出来てしまう。

適当な大きさの平皿にオーブンシートを敷き、その上になるべく厚さが均等になるようにシュレッドチーズを敷き詰める。欲張ってどっさり乗せればよいというわけではない。オーブンシートがちょっと透けて見える程度で構わない。

その皿を、電子レンジにかける。ラップなどはかけない。

家人の寝静まった夜中の台所で、男が一人、酒のグラスを片手に電子レンジの中で皿がグルグル回るのをじっと見守る。

ブーンと電子レンジの唸るような音と、覗き窓から漏れる光。遠くで犬の鳴く声。

台所の電気を消しておくと気分は一層盛り上がるのでおすすめだ。

時折、中を開けて状態を確認する。

チーズ自体の油脂が加熱されて溶けだし、その油で端の方から溶けたチーズがほんのりと焦げ始めるので、全体がたたみいわし状にパリッと固まるまで何度か開けたり閉めたりを繰り返す。

頃合いになったら電子レンジから取り出して、乾いたまな板に移して、包丁で食べやすい大きさにカットすればチーズスナックの完成である。

 

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好みで加熱する前に上から塩、胡椒などを振っても良い。

シュレッドタイプでなくても、フィルムで一枚ごとに個包装になっているスライスチーズでもできる。

 

今年も

早いもので残り40日ほど。

年を追うごとに、一年が過ぎるのが早く感じるのは何故だろう。

このままではあっという間によぼよぼになって、気が付いたらあの世に…なんてことにもなりかねないが、まあそれも悪くないのかもしれない。

今年は3ヵ月連続で麺イベントに取り組むなど、ここ数年の内では、最も多く製麺をした一年だった。*1

チャーシューもよく作った。

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チャーシューを作るということより、肉を加熱する、ということの勘所の糸口みたいなものがちょっとだけ、見えてきた一年でもあった。

麺にしろ、肉にしろ、お前がそんなスキルを身に着けてどうするのだ、という思いもあるが、ぜい肉以外に何も得るものがないよりはマシな一年だったじゃないか、と自分の肩にそっと手を置いてやりたいような気分になったりもするのだ。

いよいよ師走も近い。

 

*1:おかげで体重も増えたので、今、必死に落としている…。

季節を知る

酒飲みにもいろいろ流儀がある。

飲む酒、選ぶ肴はもちろんのこと、訪ねる町、行く店、そこでの振る舞いなど様々だ。

たとえば、僕はどちらかと言うと、方々の店をとっかえひっかえ訪ね歩くのが苦手な方で、そのかわりに縁を得て一度伺った店が気に入ればそこに通い詰める性質なのだが、中にはそれを良しとせず、あえて”行きつけ”を作らずに、方々のお店に間隔を置いて訪ね歩き、いつでも新鮮な気分で酒場の「空気」となることを良しとする人もいて、酒飲みが百人いれば、その流儀も百通りとなる。

 

そんな僕が昨年の秋口に初めてお邪魔して以来、それこそ狂ったように通い詰めているお店が武蔵小山の「牛太郎」である。

秋から始まった付き合いが一年続き、ようやく四季を一巡りしたことになる。

城南を代表する名店を”行きつけ”だ、などとおこがましいことを言うつもりはないけれど、たとえば仕事帰りに決まったお店に立ち寄って一杯引っかけて帰宅するのが日常の一部となり、やがて出される肴で季節の移ろいを知る、なんていうのも酒場通いの楽しみの一つだと思う。

僕にとってのそれが牛太郎の「温奴(おんやっこ)」だ。

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半丁ほどの木綿豆腐を、薄く味を付けた出汁で煮た上から、茹でたほうれんそう、刻みネギが乗り、山ほどの鰹節が熱々の出汁から立ち上る湯気で楽しげに踊る。

見た目にも温かな牛太郎の冬の御馳走である。*1

脇から味の沁みた”ちくわぶ”がひょっこり顔をのぞかせているのも、なんとも東京の酒場らしい風情ではないか。

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冷暖房のない牛太郎のカウンターに腰かけて、この温奴を突きながら、目黒生まれの冷たい”ハイッピー”をグビりとのど奥に流し込んで、城南の冬の始まりを知るのもなかなか悪くないと思う。

*1:ひとつ注意しておくとうっかり「湯豆腐」と頼むと、ご店主のじょうさんお手製のボリューム満点の湯豆腐(裏メニュー)が小鍋仕立てで供されるのでご注意を。こちらも大変美味しいのだが、連れがいる時か、よほど空腹な時でもないと、平らげるのに少々難儀する。

ケチャッピー

ケチャッピーをご存知だろうか?

ケチャッピー

この商品名を考えた人は相当シャレの分かる人だと思う。

たびたびこのブログで登場する、あれこれちょっと残念なんだけどなんとなく利用してしまう独立系のスーパーマーケットのスパゲッティコーナーで、ちょくちょく見かけてはいたのだが、昨日、気まぐれに手に取ってみた。

正式名称は「具入りケチャッピーナポリタン」。

商品説明を公式サイトから引用すると

玉ねぎ、にんじん、ピーマンと香辛料を煮込んで作り、トマトの風味がいきた、ケチャップだけでは出せないコクのある味わいのパスタソース。冷めてもおいしさはそのままなので、お子様のお弁当にもぴったりです。 

 とある。

要するにチューブ容器入りのナポリタン専用ケチャップなのだが、今回初めて使ってみて驚いた。

これはいい。

なんだかとっても具合が良い。

出るところがきちんと出っ張って、引っ込むところがシュッと引っ込んでいる感じ。

強火にかけたフライパンで柔らかめにゆでたスパゲッティに軽く塩胡椒をしてサラダ油で炒めつける。表面に程よく焼き色がついたら、スパゲッティをフライパンの片側に寄せて火を中火に落として、むき出しになったフライパンの表面に必要な分量の半分ほどのケチャッピーをムリムリっと絞り出す。

フライパンの中でジューッと勢いよくケチャッピーが爆ぜるので、木べらなどで軽く混ぜ、ふつふつと煮詰まってからスパゲッティに絡め、色の具合を見ながら残りのケチャッピーを加えて好みの加減に仕上げる。

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具材はあっても良いけど、なくても良い。

余り水気のない具材の方が良いと思う。粉チーズは必須。

一般的なケチャップより酸味、甘み共に強く感じる。それを粉チーズが上手にまとめあげてくれるようだ。

ナポリタンと言えば、先日具ナシの素のナポリタンの上から下町名物の「炒り豚」を乗せたものを作ったのだが、これもなかなか具合がよかった。

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子どもの頃はなぜかケチャップ味が苦手で、スパゲッティと言ったらミートソース派だったのが、40を過ぎてケチャップ味の食べ物をこんなに食べるようになるとは思ってもいなかった(苦笑)

ケチャッピー、良いですよ。

オススメです。

ちゃんぽん

自宅最寄りの「やればできるんだけど成績の良くない小学生」みたいなスーパーの棚でこんなものを見つけた。

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ちゃんぽんうどんスープ

 

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というわけで、先日作った焼きそば用の麺と、かまぼこ、ちくわ、冷凍シーフードミックス、人参、もやしなどを炒めた具と合わせて、朝食に。

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食べながら、長崎出身の母方の祖母のことを思い出した。

ご飯もよく作ってもらったけど、外食好きで近所の喫茶店や洋食屋に連れて行って貰った記憶の方が残っている。良いお客さんだったようで、行く先々のお店の店員に良くして貰っていた。

お嬢様育ちのハイカラな人だった。

コーヒーと煙草をこよなく愛し、僕にはクリームソーダや海老フライ、ハンバーグ、ピザパイなどを取ってくれた。 

ただ、今にして思えば母親がよく皿うどん(揚げ麺の方)を作って食卓に並べていたのは、祖母の影響だったのかもしれない。

どこか懐かしく、彩もにぎやかな異郷の味。

 

 

ハンバーグ

先週ぐらいから、何故だか無性にハンバーグを作りたくて仕方がなかった。

食べたいのではなく、作りたい。

我ながら、ちょっとどうかと思うけど(苦笑)

昨日は連休明けの火曜日、それじゃなくても気怠いので簡単に済ませたいはずなのに、結局欲求に逆らえなかった…。

仕事帰りにまわり道をして、日ごろ愛用している自由が丘の食品館あおばに立ち寄って知る人ぞ知る(笑)お買い得品「合いびき肉ジャンボパック(1㎏)」¥660を調達して帰宅。(昨日はさらに2割引きで大変お得だった)

大き目のみじん切りにした玉ねぎを、軽く焦がすようなイメージで強火から10分ほどフライパンで炒めて、粗熱を取る。

合いびき肉は、塩、胡椒、ナツメグ、全卵と共に空気を入れるように全体に肉の脂が廻って白くなるまでよく練り込んで、さらに”つなぎ”として砕いたお麩を牛乳でふやかしたのと冷ました玉ねぎを混ぜて、形を整える。

余熱したフライパンで表面に焼き色を付け、温めたデミグラスソースの入った鍋に焼けたそばからドボンドボンと放り込んでいく。

理由はよくわからないけど、ただその全部の工程を、ひたすらこなしたかった。 

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出来上がったハンバーグはテキトーに作った割に、ちゃんと御馳走の味がした。

こういう「御馳走を作ったゾ感」みたいなものが欲しかったのかもしれない。なんとなく。

 

焼きそば

焼きそばが好きだ。

以前からしつこいぐらい書いているが、”ラーメンより炒飯”な男である。
麺類ならそば、同一周回上、半周位の差をつけてスパゲッティ、周回遅れにうどん、ラーメンなどのその他の麺類、だと思っていたが、大事な存在を忘れていた。

焼きそばである。

焼きそばは好きだ。
汁がないのがいい。

麺とソース、最悪の場合、その二つさえあれば成立する。

スープだの、具材だの、面倒くさいことを要求しない。

飯と卵さえあれば成立する炒飯に通じるものがある。

というわけで、早速焼きそば用に麺を打ってみた。

なんとなくイメージしたのは、僕の知る限りの焼きそばの最高峰、両面焼きそば専門「あぺたいと」の麺。

加水率低めのポキポキ(半乾燥なのかも…)且つもっちりな独特な食感の太めの麺がたまらない旨さなのだ。

粉は、初めて使用する「春よ恋」。北海道産の春撒きの小麦だけを使用したのがその名前の由来とされる「はるゆたか」の後継種。テーブルロールなど製パンに好適とされる粉で、色味の良さ、のびの良さを期待して、35%加水の太麺に仕立てた。

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卵白を練り込んだところ、なかなか良いクリーム色に仕上がった。

パツパツとしたハリのある打ちあがりに期待が広がる。

が、一つ問題が…ソース、スーパー特選太陽ソースが今回入手できなかったのだ…。

不覚である。

致し方なく、おたふくの焼きそばソース、醤油、ブルドッグの中濃などを組み合わせてみたが、スーパー特選太陽ソースの複雑な甘み、奥深くスパイシーな味わいを知った身には、あまりに平板。

紅ショウガと合わせて食べることで、なんとかキレが増したが、一つの理想にたどり着いたあの銘品の味わいには遠く及ばない。。。

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ソースの問題を覗けば、麺の出来はおおむね狙った方向に仕上がっていて、満足な結果を得られたが、もう少し細くした方が焼きそばとしては良いのだろう。あまり太いとモチモチ感が勝って、焼うどんを食べているような気持ちになるようだ。

残った麺は、つけ麺やミートソースに合わせるなどしようと思う。