夜中に台所で僕は
連休の前となるとついつい、宵っ張りになりがちだ。
ダラダラとテレビや雑誌、読みかけの本などを眺め、時折居眠りしたりをしつつ、それでもまだ床に就きたくなくて、焼酎なんぞをちびちびやっていると、口さみしくなる。
何かないかと探してみるが、乾き物も切らしていて、冷蔵庫を開けて頭を突っ込んでみても、めぼしいアテもない。
唯一見つかったのが、シュレッドタイプのとろけるチーズ。
このままアテにするには頼りないないが、こいつとオーブンシートがあれば、ちょっと気の利いた上等のアテが出来る。
しかも、酔っていて手元が多少怪しくてもしくじりようがないほど、いたって簡単に短時間で出来てしまう。
適当な大きさの平皿にオーブンシートを敷き、その上になるべく厚さが均等になるようにシュレッドチーズを敷き詰める。欲張ってどっさり乗せればよいというわけではない。オーブンシートがちょっと透けて見える程度で構わない。
その皿を、電子レンジにかける。ラップなどはかけない。
家人の寝静まった夜中の台所で、男が一人、酒のグラスを片手に電子レンジの中で皿がグルグル回るのをじっと見守る。
ブーンと電子レンジの唸るような音と、覗き窓から漏れる光。遠くで犬の鳴く声。
台所の電気を消しておくと気分は一層盛り上がるのでおすすめだ。
時折、中を開けて状態を確認する。
チーズ自体の油脂が加熱されて溶けだし、その油で端の方から溶けたチーズがほんのりと焦げ始めるので、全体がたたみいわし状にパリッと固まるまで何度か開けたり閉めたりを繰り返す。
頃合いになったら電子レンジから取り出して、乾いたまな板に移して、包丁で食べやすい大きさにカットすればチーズスナックの完成である。
好みで加熱する前に上から塩、胡椒などを振っても良い。
シュレッドタイプでなくても、フィルムで一枚ごとに個包装になっているスライスチーズでもできる。