新丸子「三ちゃん食堂」の玉子焼き(¥150)

全くの私論ですが、酒場の玉子焼きは「二つ折り」に限ると思います。

 

全卵二個(これ重要)を「かん、かん」とボウルに割り入れて、菜箸を立てて白身を切るように「カカッ」と手早く数回混ぜたのを、熱したフライパンに「じゅっ」と流し込む。

玉子の外周部分に火が通って軽く浮き上がったあたりで外周から内側に向けて「ぐるぐるっ」と渦を巻くようにと大きく菜箸で混ぜ、火の通りが外周から中心にかけて均一になる頃合いが訪れたその瞬間「エイヤっ」と気合いもろともパタンと折り畳んで半円形に形を整える。

これが僕が酒場の玉子焼きに求める基本フォーマットです。

このフォーマットを個人的に「パタン系」と名付けておりまして、初めて玉子焼きを頼んだお店でこの「パタン系」の玉子焼きと出会うと、ひとり胸をときめかせております。

中でも、味と値段で群を抜いているのが新丸子「三ちゃん食堂」のそれであります。

直前のエントリーで「高からず、安からず、美味からず、不味からず」なんて我ながらヒドいことを書いていますが(苦笑)、今でもモノによっては物凄く安いメニューも残っていて、この玉子焼きはなんと150円。

(卵自体が「物価の優等生」と言われ、なんとここ数十年価格傾向にほとんど変動がみられない稀有な食品なので、値上げする理由があまりないだけなのかもしれませんが)

以前は、同じ卵メニューでもハムエッグを頼むことが多かったのですが、最近はすっかりこの玉子焼き一辺倒となっています。

味付けはおそらくMSGオンリー。

MSG。

マジソンスクエアガーデンの略でも、マイケルシェンカーグループの略でもなく、Monosodium Glutamate(グルタミン酸ナトリウム)、そう、ズバリ化学調味料のことです。

以前ご紹介した神田の「大越」のロースハム炒めには、ありふれた食材に丁寧且つ愚直な仕事という名の魔法がかけられていますが、この「三ちゃん食堂」の玉子焼きには、自分で作るとしたらちょっとためらうほどの量の「魔法の白い粉」が含まれていて、最早、存在自体が「魔法」。

 

例によって家で自分で作れよ、っていう話なんですが、こういう素っ気ないアテほど、注文してぼんやりビールでも飲みながら待っていれば、目の前にひょいと出てくるのが嬉しいのです。

 

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つくづく、酒飲みって不思議な生き物です。

ちなみに上の写真はつい昨日の昼時に撮ったのですが、未だに「魔法」で舌がびりびりしております(苦笑)