漂流

試みに訪ね歩いた店をメモとして残してみようと思う。
極力批判的にならないように、メモワールとして。

時系列に書いていく。

  • 2月初旬

浜松町「まほろば」
同僚らとともに、寒い夜にはじめて訪ねた。
老婦人と息子夫婦と見受けられる3人で切り盛り。
醤油色の東京のおでん。このところ京風の薄い色のこぶだしのおでんを家でも外でも好んで食べたり作ったりしていたが、かつおだしをきかせたしょうゆ味も悪くない。ほのぼのとした名店、閉店まで居座ってしまい、我ながら品のない飲み方をした。近々、一人で伺ってみたい。

新丸子「三ちゃん食堂」
休日の友である。壜ビールと冷奴、ゴマ和えやら、鯖の焼いたのだのを肴に昼日中に飲むのは格別である。
土日は、大変な喧騒で、お世辞にも快適とはいえない有様だが、これはこれでいいのだ。

  • 3月中旬〜下旬

中目黒「鳥よし」
雨の日の土曜日、連れ合いと中目黒を散歩していて、前を通りかかる。
連れ曰く有名店だとのことで、何気なく中を覗いてみたところ、席が空いているので物は試しと思い入店。
壜ビール。お通しの香の物が旨い。
ぼん、ちょうちん、かっぱ、はつ、せせり、つくね、ペコロス、ヤングコーンなど。
タレだの塩だの、いちいち指定せずとも、出してくれるのがうれしい。
焼き方、素材とも上々。接客してくれた若い衆も小気味よく、さりげなく新参者にも美味しいものを教えてくれるので大変好感持てたのだが、焼き場に立ったまとめ役(店主は別店舗にいるようだ)の火バサミの扱いが乱暴なのが徐々に癇に障り始める。
威勢よく仕事をしてもらうのはこちらの文句の言えた話じゃないが、炭をいじるたびに、我々の座るカウンターの袖壁に向けて火バサミを投げつけるので、毎回、ガシャーンと威圧的な音を立てる。
終いには、こちらに間違えて出した注文を「頼んでいないよ」と指摘したところ、黙ってむっつりと下げた上に、我々の接客についてくれていた若い衆に向けて「てめえ、確認しただろ、バカ」と怒鳴りつけた。
ちなみに若い衆は、きちんとこちらの頼んだものを通してくれていた。間違えたのはその焼き場の男である。
よほど腹が立ったので、その場で席を立とうかと思ったが、恐縮そうにする若い衆の顔を立て、もう一杯ずつ飲んで会計を済ませた。
無愛想と、無礼は異なるものだ。
無愛想は味になるが、無礼は毒にしかならない。

三田「たけちゃん」
そういう意味でここはいい意味で愛想がない。きちんきちんと機敏に接客してくれる。
関西風の立ち飲み串揚げ。いわゆる”ソース二度付け禁止”という店だ。
れんこん、カキ、ハムカツ、こんにゃく、紅しょうがなど。
酒は紹興酒のロックが合う。不思議な取り合わせだが、一度試してみるとよい。

自由が丘「金田」
かれこれ4年ほど通っているか。
この日は一月ぶりぐらいに伺う。
まず樽酒。アテはアサリの生姜煮、かつおなめろう
博多椀(トリのスープ)で〆た。
隣席の女性。いかにもな”アラサー”(おそらくフォーではない)の”お一人様”が、ギネス・スタウトの壜を直飲みしている姿にげんなりさせられる。
そもそもギネスはグラスに注いだ方が旨いと思うのだが、なにより、あの店のカウンターでビールを壜から直のみできる図太さこそ、”お一人様”だの”アラサー”だのといった流行語を生み出した原因かもしれない。
飲み食いは人の自由だが、公共の場で人を不快にしない心遣い、立ち振る舞いを忘れるべからず、と自戒。

自由が丘「鳥へい」
金田からのハシゴ酒。
先ほどの誓も脆く、泥酔。帰宅途中転倒し、足に切り傷を負う。
他人様に迷惑は掛けていないと思うのだが。。。反省。

銀座「三州屋」
こちらも心地よい無愛想。
壜ビール、山菜てんぷら、鰯の刺身、熱燗と楽しんで銀座で2000円そこそこで済む店も珍しい。

神保町「ランチョン」
吉田茂(うろ覚え)も愛したという昭和5年創業のビアホール
名物のミートパイ、メンチカツなどをつまみにビールが進む。
500mlのグラスで700円弱と、ビアホールとしてはビールの値段も手ごろ。
接客も大変毅然としていて、自然と敬意を持てるのがすばらしい。

大井町「大山酒場」


ランチョンの後、「兵六」で飲むつもりが、その日限りで閉店という急報を受けて、あわてて移動。
たどり着いたときには既に、閉店状態だったが、無理を言ってチューハイを一杯だけ。
煮込みと卵料理が名物だった。卵料理は、店主が外国船のシェフだった名残だと聞いたような聞かなかったような。
お世辞にもキレイな店ではなかったが、きっぷのいいお姉さんたちとのやり取りが、心地よい店だった。
残念。

自由が丘「LAYRA#2」
珍しくカクテルなどを連れ合いと。

自由が丘「ほさかや」
日曜の夕刻。大相撲春場所千秋楽を横目に。
いわゆるうなぎの串焼き。
肝焼き、からくり、塩焼き、壜ビール、冷酒。
肝焼きの旨さを再認識。

やれやれよく飲んだ。
これから少しばかり、倹約。