ポン鱈、越乃寒梅、天狗舞石蔵仕込み

今週末、連れ合いの実家の法事だという。
出席できないお詫びに何か贈ろうという話になり、昨年末に贈ったところブランドネームの威力を遺憾なく発揮して、大変喜ばれた越乃寒梅別撰を送ってあげよう、ということになった。

というわけで、昨日午前中、電車で2駅ほど離れた「I」という酒屋まで出かけて行き、手配を済ませてきた。

もちろん、手ぶらで帰るわけもなく、自宅向けに、越乃寒梅無垢(純米。白ラベル)と、天狗舞石蔵仕込みの2本を購入。「I」ではほぼ常時、越乃寒梅各種を、定価(!)で揃えており、ブランド嫌いの僕の考えを改めてくれた恩人のような店。

ブランドだけが選択基準だと言う人も確かにいるだろうけど、所謂「ブランドもの」だというだけでモノの価値を正当に評価できないのは、不明以外の何物でもないのだ、ということを教わった気がする。

一人歩きして世の中を闊歩する「情報」というヤツに価値判断の基準をゆだねてはいけない。

さて、燗好適の2本の四合壜を入手したからには、今夜のアテはやはり、暖かい魚貝の料理だろう、ということで「I」のある商店街と同じ、その地域では一番規模の大きい魚屋を覗くと、店先にみごとな生鱈が。
トロ箱に刺された経木にはポンタラと書いてあったが、何のことかその場で分からず帰宅して調べたところ、真鱈の稚魚とのこと。これだけでかくて(自分の腕ぐらいの大きさ)稚魚ですか!

むふー。ここは一つ自由が丘「金田」の冬のお楽しみの一つ、タラ汁を再現してくれよう、ということで、型のよさそうなものを2尾購入して家路についた。

さて、夕刻。

タラは背びれ、胸びれ、尾、鰓を落とし、肝や腸などの内臓を傷つけないように取り出して、筒切りにする。
内臓は冷水でよく洗い、身は塩を振って、しばらく水を出す。
鍋に湯を沸かし、内臓を軽く湯通しして、冷水にとって汚れをとり、一口大に切る。
肝は汁の具として食べても美味しいのだが、半量、すり鉢ですって味噌と合わせておく。
鍋の湯を変えて、今度は身を湯通ししてから冷水にとって霜降りにして、下処理終了。

鍋に昆布だしを取って、乱切りにした大根を茹でて、程よいころあいで、すり鉢で併せた味噌と肝を溶きいれる。
アクがうくが、なんとなく、このアクは取ってはいけない気がする、と野性が告げたので放っておく。
大根に味が入ったら、強火で沸かした汁の中に、霜降りして水気を取った鱈の身を投入して、タラ汁の完成。

大変、結構な出来栄えだったのだが、実は日中、よく野菜を貰う知人宅から招かれて手土産に持っていった越乃寒梅の四合壜を、二人で空けてしまったので、目論見どおりには行かず、缶チューハイの友となってしまったのだが、まあ仕方ないか。