旧芝離宮にかかる虹

東京都港区。
JR浜松町駅の南口改札を出ると、東京モノレールのレールに沿って、旧芝離宮恩賜庭園をまたぐように橋状の自由通路が延びている。
東京ガス東芝セイコー清水建設など多くの企業がその周辺に社屋を構えており、そうした企業に勤める人々が朝夕、列を成して行き過ぎる。

かく言う僕も、その中の一人なのだが、昨夕、その通路の窓に人だかりができていて、何かと思って近寄ると、暮れ方の空、旧芝離宮の青々とした木々の上に大きな虹がかかっていた。

これほど大きく、輪郭のはっきりした虹を間近に見ると、単純に美しい、という感情よりも、何か不安に駆られる人が多いようだ。

窓の外に携帯電話のカメラを向ける人々は、冗談めかしてはいるものの口々に地震や天変地異の前触れでは?といったようなことを囁きあっている。

現代人の奥底にもまだ、そういった自然現象への畏怖のようなものが残っているということか。