渋谷の夜
雨の火曜日。
渋谷のPARCOミュージアムで開催された「顔面遊園地 ナンシー関 消しゴムの鬼」展の最終日に出掛けてきた。
一夜明けてもまだ脳が揺れている感じ。
懐かしいあの人や、今もテレビで見かけるあの顔この顔。
最初はニヤニヤしながらただ楽しんで作品を見ていたのだけれど、あまりの密度に最後は圧倒され息切れしてしまい、展示を見たあとはどこかで飲んで帰るつもりだったのに、結局飲んで帰る気にも、だれかと話す気にもならず、よろよろとPARCOを出て、まっすぐ帰宅した。
10数年振りに歩いた公園通り、スペイン坂界隈のあまりの変わらなさにちょっと戸惑ってもいた。
入ってる店だとかはそれなりに変わったけど、建物も歩いている人もやってることもあんまり変わってない。
それはなんだが凄いと思う。
いつも行ってる人はなんとも思わないかもしれないが。
ナンシー関さん。
あのころは「今」を彫る人だとばかり思っていたけど、その眼は少し先の未来を見ていたのだなァ、と。
彼女が見ていた少し先の未来から”ナンシー関の彫った時代”を振り返ることで、今もその慧眼が時間の向こうで光を放ち続けていることを確かに感じた。
その光、まなざしの強さに立ち眩みのようなものを覚えた渋谷の夜だった。