秋味

今年も先々週あたりから出廻り始めているキリンの「秋味」。

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同社の他製品に比べて1.3倍量の麦芽を使用している他、アルコール度数も6%と高めなんだそうで。

91年に発売されて以来、20年以上製造されているのでもはや秋の風物詩といっても差支えの無いビールブランドですが、自分の場合は特にここ数年、美味しく感じるようになりました。

とはいえ所詮、僕の舌なんてチープな庶民の舌ですから、麦芽の使用量やアルコール度数などスペックの違いをきちんと味わい分けているのか?実は長年にわたるブランド化戦略によって飼いならされてしまっているんじゃないか?そもそもお前は飲めればなんでもいいんじゃないのか?という被害妄想的な猜疑心が次から次にムクムクと湧いてきたので、もう少し踏み込んで調べてみたところ、なんと「秋味」って熱処理ビールなんだそうで。

それは、どうりで美味しいはずだ、と一発で納得いたしました。

何を隠そう、日本最古のビールブランドであるサッポロラガービール(通称赤星)も今や少数派となってしまったこの熱処理ビールでして。

で、この熱処理(パストリゼーション=低温殺菌)ってナニかと申しますと、出来上がったビールの中に残っている酵母の働きを完全に止めるために、50~60℃の比較的低温のお湯をビールを詰めた瓶や缶の上からかけるという処理でして、この処理を施されていないビールが、所謂「生ビール」として世の中に流通しているわけです。

この処理の有無がビールの味に決定的な差が生じさせる、ということはないそうですが、「秋味」と「サッポロラガー」以外に現在国内メーカーが生産している非加熱ビールは、というとキリンの「クラシックラガー」とアサヒの「スタウト」のみで、いずれもなかなか安心感のあるブランドばかり。

熱処理の目的は、温度変化による品質劣化を防ぎ、保存性を高めることにあるので、製造直後の味に大差はなくても、流通過程や、問屋や酒販店、そして店舗での保存状況によっては、最終的に非加熱ビールとの間に大きな差が生まれているのではないか、と考えられなくもないような…。

私を含めて古い酒場好きにはこの「サッポロラガー」の愛好者も多く、また取り扱う店舗も、「名店」と呼ばれるような老舗の酒場が多いのですが、なるほどこれにはきちんとした理由があったのだなァ、うんうんとひとり何度もうなずいた次第。

 

というわけで今日は自由が丘の「金田」あたりに立ち寄って「赤星」と何か佳き酒肴でもつまんでから帰宅しようかと。

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 秋らしいアテが始まっているとよいのだけれど。