野球協約

知らなかった。
日本プロ野球協約から、昨年1月1日発効分の改変によって、野球ファンならおそらく誰でもが知っているであろう、有名な一節が削除されていたらしい。

失われた一説の抜粋。

日本プロフェッショナル野球協約(旧版)

第1章 総則

中略

第3条 (協約の目的)
 
この協約の目的は次の通りである。この組織を構成する団体および個人は不断の努力を通じてこの目的達成を目指すものとする。
(1)わが国の野球を不朽の国技にし、野球が社会の文化的公共財となるよう努めることによって、野球の権威および技術に対する国民の信頼を確保する。
(2)わが国におけるプロフェッショナル野球を飛躍的に発展させ、もって世界選手権を争う。

後略

「もって世界選手権を争う」

米国のワールドシリーズチャンピオンに対して、日本の日本シリーズのチャンピオンが正面切って挑戦し、この2国のチャンピオン同士の決戦を世界一決定戦と認めてもらえるよう、国内各球団は互いに切磋琢磨し、日本の職業野球を発展させていきましょう、という勇敢な決意表明だった。

これが2009年より、下のように改変された。

日本プロフェッショナル野球協約2009

第1章 総則

中略

第3条 (協約の目的)
この協約は、社団法人日本野球機構事業の円滑適正な執行を図るための組織である日本プロフェッショナル野球組織の組織及び運営の細目を定めるものである。


なんだかずいぶんあっさり。。。
世界選手権のくだりは、WBCに参加する他国の手前、致し方ないとは思える部分もあるのだが、全体的に、事務的というか、実務的に過ぎ、読むものに一抹の寂しさを抱かせる内容となってしまった。

なんで改変から1年も経ってからこんなことを調べたかと言うと、今日↓のようなニュースを読んだから。

日刊スポーツ(2010年1月6日付)

渡米中の日本プロ野球組織の加藤良三コミッショナー(68)が6日(日本時間7日未明)、日米首脳会談で「世界一決定戦」開催の見解が一致したことを明かした。5日にミルウォーキーで大リーグのセリグコミッショナー、6日にはニューヨークで同デュパイ最高執行責任者とそれぞれ約1時間の会談を行い、意見交換した。

 加藤コミッショナーは08年7月の就任時から、日本シリーズ優勝チームとワールドシリーズ優勝チームが戦う「日米決戦」の開催を目標に掲げてきたが、逆にセリグ氏から日米王者で争う「グローバルワールドシリーズ」開催を提案されたことを明かした。加藤コミッショナーは「驚いた。セリグは『(2012年までの)任期中に実現したい、ライフワークのようなものだ』と言っていた。私もまったく同意見。現実の課題として検討すべきだ」と話した。容易に実現する話ではないが、「この先の道筋をつけた。話し合いは続けていく」と強調。7月には日本のオールスターにセリグ氏を招待し、会談することを検討している。(ニューヨーク=大塚仁)


セリグっていう人は、MLBのコミッショナーとして必ずしも評価が高い人ではなかったのだけれど(94年には、選手会との労使交渉にしくじって、MLB初のストライキという失態を招く。はたまた01年にはツインズとエクスポズを無理やり解散させようと画策。そんなセリグはツインズと隣接するミルウォーキ・ブルワーズのオーナー出身でいまでもブルワーズの役員として籍がある。)、WBCの立役者として、最近は評価する向きも増えている人物。

アメリカと日本のチャンピオンチーム同士の勝者かどうかはひとまず置いておくとしても、長年の日本球界の悲願がかなうかもしれない。

野球協約から削除されてしまったけれど、「巨人の星」世代(アンチ巨人だけど)としては、ぜひ「大リーグ」のチャンピオンチームと、日本プロ野球のチャンピオンチームが、タイトルをかけた大試合を戦う光景を見てみたいなあ。

こんな話もあることだし、ぜひ、東京ドームや神宮球場も改修して外野をもう少し広くしてみてはいかがかしら。