5月後半から6月

暑かったり寒かったりする季節。
年々、夏にフれてきているというか、ただ単に中年になって徐々に、季節の移ろいに敏感になっているだけなのかわからないけど。

子供の頃は「雨」と「アジサイ」と「でんでん虫」みたいな、古いカレンダーのイラストのようなイメージしかなかった初夏が、なんだか今はとても愛おしい。

そんな季節を迎え。
5月最後の週末。

数年ぶりに日比谷野外音楽堂に出掛けてきた。
http://miyukihatakeyama.jugem.jp/?eid=13278

遅い午後から断続的に降った雨と埃のにおい。
雨の名残をまとった空気と、青い木々が半円形の音楽堂のぐるりを囲む。
風が吹いて、木々の梢が揺れて、さわさわとかすかな音をたてた。
陽が傾き、隠れ、空が夜の色に変わる。
その雲間を、月と、ビルの明かりが浮かび上がらせた頃、オレンジのドレスをまとった彼女が、ステージの上に。

懐かしい曲と、スタンダードナンバー。
期待していなかったPort Of Notesの新曲も3曲(?)。
すばらしい。
DSK氏のアルペジオ
哀切と、枯れた情熱。
日本語詩、実はあまりしっくり来ないことが多かったけれど、その夜聞いた曲は、どれもすんなりと、体に馴染んだ。

20時前に、終演。
駱駝の背に乗せた皮袋の中で、ぶどう酒が揺れているような気持ちのまま、今僕は、彼女の曲ばかり聞いてすごしている。

恋でもなく、憧れでもなく、ノスタルジーでもなく。
サウダージ
日本語にはない、言葉と感情。

そんな季節。