2007-10-17 季節の終り 季節の終わり目を知るのは大抵いつも、それが終わってしまった後のことだ。 ずっと季節の終りも始まりも気に掛けないまま、ある日不意に「ああ、終わっていたのだな」と気づく。古い居酒屋のカウンターで傾ける熱燗の暖かさ。 街路樹の銀杏の実の匂い。あんなに暑かった今年の夏も、もう遠いことのように思える。 数回鳴らして、ただ着信履歴だけを残し、それきりの電話。 酔った勢いで戯れにかけた電話。 きっと向こうからかかってくることはないのだろう。季節の終りは、たいていそんなものだ。