夢売るふたり

朝方、早めに起きて庭掃除をしたら思いのほか寒い。
空を見上げると、熊手でスーと掻いたようなうろこ雲にうっすらと夜明けの色。

熱いシャワーを浴びた後もまだ寒くて、いつもはアイスで飲むコーヒーをホットで。
シャツを羽織り、ダック地のベストを着るか迷ってから、秋物のヘリンボーンウールのジャケットを手に取る。
軽く毛羽立ったウールの感触が、何とも言えず懐かしい気持ちにさせる。
ようやく訪れた秋の朝。
調子に乗って靴もトリッカーズのカントリーブーツを履いて意気揚々と玄関を一歩出ると…意外や強烈な日差し。
なかなか思うようにはいかないもので、致し方なく家人に頼み、ウールのジャケットを厚手のコットンダック地のジャケットに変更。

最寄駅の改札に出ると、中にはシャツ一枚の人もちらほらいて、さすがにまだウールはやり過ぎだった、とひとり苦笑い。
と、ここから唐突に夕べ見た映画の話。



東京で暮らす心のどこかに満たされない何かを抱えた4人の女性と、不運のどん底に突き落とされ結婚詐欺に走る夫婦を描いた群像劇(…だよな、うん)。

男性からすると不都合であったり、観ていると居心地の悪くなるような女性の心理や生態をゴロンと無造作に描いていて、観客の8割方が女性の館内で、なんとなく所在がない(苦笑)

松たか子という、ある意味扱いの難しい女優を、ほぼ全編ノーメイクで(苦笑)、不細工に描いたのも成功している。
とにかく不細工、そして顔デカいw
(いや、ちゃんとされたらもちろん、おキレイな方なんでしょうがw)

まあ、でも夫婦関係にしろ、恋愛にしろ、ちょっと引いた目で見ればあんな感じなんだろうなあ、と。

結局異性として完璧である必要はなくて、その時、その場のタイミング次第で星のように輝く、というのはなんとなく…なんというか所詮は生理現象なのねというか…。
そのあたりを、物語の終盤、きっちりと松たか子演じる結婚詐欺を主導する妻にも体現させたのには思わずニヤリ。
ジェンダーのフィルターを外した乾いた目線で、生身の人間の愛嬌というか、憎めない感じを上手に描いた良作。

今夜は、タイミング合わなくて見そびれていた一部で今年度ナンバーワンという評価も見かける「桐島、部活やめるってよ」を見に行きます。

まだ渋谷で一館だけ上映しているところがありました。
前売り券、まだどこかで買えるかしら、、、。