ざっかけない食べ物

来月のイベントに向けて、酒肴の試作を続けていますが、今回は失敗作の報告です(苦笑) 

簡単な人力真空包装器を入手したので、合鴨のロース肉をカエシに浸してパックしたものを70度の湯煎で火入れしたのですが、金曜日の夜も更けてから焼酎なんぞを飲みながらやったのがいけなかったのか加熱時間を大幅に見誤って、なんだか残念な出来上がりに。

粗熱を取ってから一晩、冷蔵庫で休ませてはみたものの、加熱しすぎた鴨肉は肉汁が抜けて粘土のようにカチカチ。

そのまま食べても食えないほどではないものの、なんだかそれも悔しいと始末の仕方を思案していた時に脳裏によみがえったのが、卵かけごはん。

池波正太郎剣客商売第6集「新妻」に所収の「川越中納言」にて、秋山大二郎が娶ったばかりの新妻で料理に不慣れな三冬がご飯を固く炊いてしまったのをフォローするために披露した料理で、煎った鴨肉を細かく切ったのと白い飯を卵と一緒に混ぜ合わせてかっ込むという、ざっかけない食べ物です。

     

剣客商売〈6〉新妻 (新潮文庫)

剣客商売〈6〉新妻 (新潮文庫)

 

   

作中では鴨は塩味で焼き、味付けは酒と醤油を混ぜたものでするというので、厳密に言えば再現ともいえませんが、いつかやってみたいと思っていた取り合わせなので、気分だけでも、とこの機会に試してみました。

失敗作(苦笑)の鴨肉をサイコロほどのひと口大に切り分け、どんぶりによそった熱い飯の上に乗せて全卵をポトリ。鴨肉をつけ込んでいたタレを適量落としてぐわわッと混ぜ合わせる。さらに前夜仕込んでおいた卵黄の醤油漬けが良い加減の固まり具合だったのでこれも追加でオン。原典からどんどん離れて行きますが、気分なので良しとしましょうw

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まあ、不味いはずがない取り合わせですよね。

こういう料理ともいえない、素朴な食べ物を無心で食べるときの解放感ってなんとも言えません。

もちろん、この失敗を教訓にイベント当日にはばっちりの加減で加熱したものをお出しできるよう、努めたいと思いますが、もし失敗した時には、メニューに卵かけごはんがそっと書き足されることでしょう(苦笑)

 

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残った失敗作は、ごく薄ーくスライスして和辛子と共に、焼酎のアテになりました。

 

【備忘】加熱時間は30分ぐらいでよい>自分